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乳幼児は重症化の可能性も…春先は“ロタウイルス”にご用心!

寒い時期に流行る病気といえば、ノロウイルス胃腸炎が有名ですよね。でもこれ、厳密にいうと11月~2月までがピークなんです。だからと言って、「もうピークも終盤だから安心だわ」と油断してはいけません。2月から春先には、激しい腹痛や嘔吐、下痢などつらい症状に見舞われる“ロタウイルス”の脅威が待ち構えているのです!

そこで今回は、医師の今村甲彦先生にまだあまり耳慣れないロタウイルスについてお話をうかがいました。正しい知識を身につけて、家族みんなで健康なカラダづくりを目指しましょう。

Q. そもそも、ロタウイルスとは?

「ロタウイルスとは、乳幼児を中心に、下痢や嘔吐を引き起こすウイルスです。流行時期は2月〜春先にかけて。何らかの原因で口からロタウイルスが入り込むことで発症し、下痢や嘔吐、発熱といったつらい症状があらわれます。下痢は水っぽく、米のとぎ汁のような白色便が出ることも特徴です」(今村先生)。

ちなみに“ロタ”とは、ラテン語で“車輪”のこと。電子顕微鏡で見るとウイルスが車輪のように見えることから、そう名付けられたのだとか。

Q. ロタウイルスとノロウイルス。名前も症状も似ているけど何が違うの?

ロタウイルスとノロウイルスのいちばんの違いは、感染しやすい年齢が異なること。

「ロタウイルスは2歳未満に多いのが特徴です。そもそもロタウイルスはありふれたウイルスで、5歳までにほぼ100%が感染すると言われています。そのため成人はロタウイルスの免疫を取得していることが多く、発症しても症状はそこまで強く出ないことがほとんどです。

これに対してノロウイルスは、免疫の持続時間が数か月から1年程度。だから何度も感染する可能性があります。それから、ロタウイルスはノロウイルスに比べ、高熱をきたしやすいという特徴も」(今村先生)

Q. 気になる感染ルートは?

「ロタウイルスは、抗体をもっていない2歳未満の子どもに多く発症します。主な感染ルートは、口から入る経口感染。吐瀉物や排便などで排出されたウイルスが知らない間に手に付着し、手を顔に触れた際などに口から入り感染します。抗体を持っている大人やワクチンを打っている子どもから発症することはあまりありません」(今村先生)。

とは言え、大人であろうと免疫力が落ちていたら子どもと同じように感染・発症する可能性はなきにしもあらず。身近にロタウイルスに感染している人がいたら大人も十分ご注意を。

Q. ロタウイルスの感染を防ぐには?

「ロタウイルスの感染力は強力! 特に下痢をしている際のオムツなど感染が疑われるものを処理する場合は、使い捨ての手袋を用いてポリ袋に捨てるというふうに扱いには十分注意しましょう。ロタウイルスはウイルスが手に付着して、それから口に入ることが多いので、食事前やトイレの後など、こまめな手洗いも大切です」(今村先生)。

ノロウイルスと違い、ロタウイルスにはワクチンがあります。保険適用されないため値段がやや高額になりますが、今村先生いわくロタウイルス感染の約10%が重症になるというデータもあるそうなので、心配な方はぜひワクチン接種を。

Q. もしも感染してしまったら……?

「ロタウイルスには残念ながら特効薬はありません。下痢、嘔吐、発熱が主症状で、2歳未満の子供に発症することが多いので脱水に注意が必要です。嘔吐があるので水分補給は難しいとは思いますが、少しずつでも電解質や糖分を含んだ経口補水液を摂取するようにしましょう。

また、まれに脳炎をおこすこともあるため、どうしても水分が取れない場合や、元気がない、けいれんしているなどのサインに気づいたら、速やかに近くの医療機関を受診してください」(今村先生)。下痢がつらいからと、むやみに下痢止めを飲んだりするのは御法度! 腸内にウイルスが残り症状が悪化する危険も。下痢がひどい場合も真っ先に医師に相談し指示を仰ぎましょう。

「一度感染すると嘔吐は2〜3日、下痢は1週間ほど続くため、子どもが感染した場合は下痢がおさまるまで保育園や幼稚園には行かせないほうがいいでしょう」と今村先生。痛みや吐き気と戦うことも、お友達にあえないことも、子どもにとっては大人以上につらいもの。だからこそ、日々の暮らしの中で、ロタウイルスに負けないカラダづくりや感染リスクを減らす工夫を家族みんなで考えてあげたいですね。

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取材協力 今村甲彦 医師

日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医。 久留米大学病院高度救命救急センターを経て、現在は地域の中核病院で内科診療および内視鏡検査に励む。「患者さんの声に常に耳を傾ける」ことをモットーに、消化器・肝臓領域から風邪、高血圧等の一般内科領域まで幅広く診療を行っている。