不調、冷え…お灸でキレイになる方法
暖冬と言われたこの冬も、年明けからの寒さはやっぱり応えるもの。体の冷えは、さまざまな不調の原因に…。じんわりとした温かさで冷えからくるトラブルを解消する方法をAll About「ボディケア」ガイドの藤原亜季さんに伺いました。
目次
Q. 今の季節に起こりやすい不調の原因について教えてください。
「病院に行っても異常はないと言われるけれど、決して“健康”とはいえない状態を、東洋医学では“未病”と呼びます」と教えてくれた藤原さん。未病とは、まだ病気ではないけれど病気に向かっているかもしれない状態のこと。妊娠や出産にまつわるケアにおいては、この未病ケアがとても大切だそう。
「『冷えは万病のもと』と言うように、女性が抱える未病の大きな原因のひとつが“冷え”。最近は冷えに関する調査や研究も増え、“冷え予防”の意識も高まってきていますが、冷えは体の巡りが滞っている証拠。体質だから…と放っておくと、生理不順やPMS、むくみや肌荒れの原因になるだけでなく、子宮や卵巣のトラブル、妊娠や出産にも関わってくるという報告もあります。
女性がきれいで健やかに過ごすためにも冷えは大敵。冷え性なんて無縁…と自覚のない人でも今の時期は下半身などの冷えが隠れていることも。まずは、自分のからだと向き合うことからはじめましょう」
Q. お灸で温めることはどんな効果をもたらしますか?
「お灸は体を温め、巡りを良くするという、人が本来もっている自然治癒力を最大に引き出すための健康法です。6世紀に日本に伝播し、江戸時代には国の医療として重要な役割を担っていたほどです。また、お灸(もぐさ)のもととなる“よもぎ”は、女性が悩むマイナートラブルに対する効能の幅広さから“ハーブの女王”と呼ばれ、漢方の世界では「病を艾(止)める」薬草といわれています。
お灸の一番の効果は、血管を拡張させて血行を促進し、からだを温めることです。また、お灸の香りにはリラックス効果もあり、じんわりと温まるお灸独特の感覚は緊張した神経や筋肉をほぐして代謝を高めてくれます。免疫機能も活性化され、ストレス解消や病気になりにくい体を作っていくことも期待できるので未病ケアには最適な方法だと思います」
Q. 冷えからくる不調はどうケアしたら良いですか?
●生理痛・生理不順は、三陰交(さんいんこう)を温めて
冬になると生理痛が…。そういう人にオススメなのが、東洋医学の考えで子宮とつながっている三陰交(さんいんこう)というツボ。ホルモンバランスを整え、血の巡りをよくすることで、婦人科疾患全般に優れた効果を発揮します。生理周期に関わらず、日頃からケアすることが大切です。
冷えが強いとお灸の温かさ(熱感)を感じられないことも。温かさをじんわり感じられればOKなので熱いのを我慢する必要はありません(途中で取ってもいい)が、1度で温かさを感じられなければ、3~5回繰り返し同じ場所に施灸してみましょう。お風呂上りにドライヤーの温風で温めるのも手軽なケア方法です。
●肩こりなど上半身の疲れには、手三里(てさんり)を!
寒い時期は体温を放出しないようにと、知らないうちに力が入り、上半身が緊張しやすいものです。そんなときにオススメなのが、手三里(てさんり)です。緊張感や長時間のデスクワークなどによる腕の疲れや肩こりによいとされるツボ。ここをピリピリっと熱感を感じるまでしっかりと温めましょう。元気がでないときに胃腸のはたらきを整えてくれる効果や、にきびや湿疹にも効果が期待できますよ。
●疲れやだるさには、関元(かんげん)を温めて
年末年始の疲れなどが出てきたときなど、パワーチャージに適しているのが、関元(かんげん)です。関元は、じっくりと温めるのが適しているので、火を使わないシートタイプのお灸を寝る2〜3時間前に貼るのがオススメです。
Q. お灸初心者が注意すべきことはありますか?
まずは自分の体と向き合うアイテムとしては、ドラッグストアなどでも見かけることの多いセルフ灸がトライしやすいと思います。セルフ灸は、もぐさを和紙でまいた巻きもぐさと、紙パルプの台座を組み合わせ、ほどよい温かさになるよう調整されたお灸です。「熱いっ!」と感じることも少なく、ご自宅でも安心してお使いいただけます。
セルフ灸は心地良い熱さでじんわりと温めるのがポイントです。もし熱さが強いと感じるようであればガマンせずに途中で取り除きましょう。
また、入浴直前や直後はさけるなど、使用前に取扱い説明書をよくお読みになってください。アロマの香りのついたお灸や煙のでないお灸、火を使わないお灸などがあるので、症状や気分にあわせて選んでみてくださいね。
illustration: Mana Manali