カラダの声は“ベロ”に聞け!? 舌のサインを読み解く方法
昔から“舌は健康のバロメーター”と言われるように、舌を見れば、その時々の不調の原因がわかるといわれています。そもそも、どうして舌にサインがあらわれるのでしょうか。国際中医師・中医薬膳師の杏仁美友さんに伺いました。
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「中医学では、舌は外部と接する“内臓の鏡”とされています。舌は気や血の通り道である経絡によって内蔵とつながっているため、舌の色・形・厚さなどの変化で病気のあるなしや体の状態がわかります。油っこいものを食べれば黄色くベタっとした苔がついたり、熱があれば赤くなったり、冷えていれば白くなったりと、食生活や季節などの影響を受けやすいんですよ」
また舌は、食道を通じて、最初に飲食物を消化する胃とつながっていることもあり、胃腸の不調を判断しやすいという特徴も。夏に多い胃腸バテに悩む人はもちろん、夏をアクティブに過ごしたい人も、ぜひ毎日の舌チェックで賢く体調管理をはじめましょう!
そもそも健康な舌とは?
「程よい厚さと大きさがあり、舌の色は薄いピンク色。うっすらと白い苔が表面につき、適度にしめっているのが理想的です」と杏仁さん。朝は舌苔がやや厚めだったり、生理中は経血や体温の低下によって舌も白っぽくなりがちだったりと、起床時間や季節、生理周期、年齢などによって舌の状態はガラッと変わるそう。朝晩の歯磨きついでに、舌もペロッとチェックする習慣を!
いざ、舌診! 色・形・舌苔で健康状態をCHECK
それではさっそく、セルフ舌診スタート! 色・形・苔の状態・出ている部位など、当てはまるサインがあるかどうか鏡でじっくり観察してみましょう。舌のサインを読み解くには、毎日同じ時間・同じ場所でチェックするのが理想的。食後は飲食物の影響を受けやすいので避けたほうがいいそう。キャンディーやコーヒーなど色のついたものを摂取した直後は正しい判断ができなくなるので気をつけて。
<色>
●黒ずんでいる
血流が悪い時。色で判別がつかない場合、舌の裏側に舌下静脈が太く浮き出ていたら血行不良のサイン。
●赤みが強い
風邪などを引いて高熱の時や、水分不足でほてりやのぼせが出やすい人
●白っぽい
元気や栄養が足りない時や、身体を温める力が弱い冷え性の人
<形>
●大きくて腫れぼったい
エネルギー不足や冷え性、水分代謝が悪い人。
●やせて薄い
身体に必要なうるおい成分や栄養が不足している。
●表面に亀裂がある
身体に必要なうるおい成分や栄養が不足しているか、過労などで疲れやすく元気不足になっている時にも現れる。
●舌のフチにギザギザの歯型が残る
胃腸の機能が弱っていたりむくみやすい人に多い。
<舌苔>
●白い苔
舌苔が白く湿っている時は身体が冷えている証拠。むくみやすい時は苔が厚くなりがち。
●黒い苔
病状がかなり進んでいる時、あるいは抗生剤を長期間使用している時。また全身の機能が低下している時などに起こる。。
●舌苔がところどころはがれている
免疫力の低下や栄養不足、胃腸の機能低下などでも起こる。
<場所>
●1. 舌先
心(しん)や肺の不調が出やすい部位。気管支炎や風邪のひき始めのほか、心の働きは大脳にも及ぶため、不眠の時にも変化が現れやすい。
●2. 舌の中央
消化機能の不調が出やすい部位。冷たいものを食べすぎたら中心が白っぽくなり、炎症や熱があれば苔は黄色くなる。
●3. 舌の奥(根元)
腎臓や膀胱の不調が出やすい部位。腎臓は泌尿器系だけでなく、人の成長、発育、老化などの生殖やホルモン系にも関わっているため、ここだけで診断するのは難しい。ただし病状が悪化している時や長引いている時に変化が現れやすい。
●4. 舌の側面(横)
肝臓や胆のうの不調が出やすい部位。肝臓や胆のうだけでなく、自律神経系にも深く関連しているため、側面だけ赤くなっているとストレスがあってイライラしているサイン。
「昨日と比べて舌が白っぽいから、体を温める食材を積極的に取り入れよう」とか、「舌の苔が剥落してきたからしっかり休んで免疫力を上げよう」というふうに、慣れてくればコンディションを自分でコントロールしやすくなるので、体調を崩しやすい人には特におすすめ。舌は毎日でも状態が変わるので、こまめにチェックしてハッピーな心とカラダをキープしてくださいね。