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真夏もご用心! 冬だけじゃないノロウイルスの予防法&対処法

夏場の食中毒といえば、O-157や腸炎ビブリオが一般的ですが、近年、冬の食中毒で知られる「ノロウイルス」も夏に流行することがわかってきました。もし感染してしまったら? 家庭内で感染拡大させないためには? 食中毒に詳しい医師の今村甲彦先生に、正しい「ノロウイルス対策」について伺います。

Q. そもそもノロウイルスとは? どうして感染するの?
ノロウイルスとは、急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種。大人も子どもも関係なく、幅広い年齢層で感染します。おもに河川や海水中に存在し、牡蛎などの二枚貝がエサのプランクトンを取り込む際に水中に浮遊しているノロウイルスも一緒に取り込むことで蓄積されます。こうしたウイルスを含んだ牡蛎を生で食べたり、ウイルスが付着した他の食材を食べたりすることでも発症します。

発症すると、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛といった症状があらわれます。まずはノロウイルスに関する正しい知識を身に付け、少しでも感染リスクを減らしましょう。

ノロウイルスは夏にも流行る! その理由は…

冬場に流行すると思われていたノロウイルスは、実は夏にも流行するのだそう。それは一体なぜ?

「要因はさまざま考えられますが、ひとつには近年、増加している輸入食材があります。2009年に厚生労働省研究班が行った調査では、海外から輸入された生鮮魚介類のうち、15%がノロウイルスに汚染されていました。輸入されてくるものには季節は関係ありませんから、それが夏でも流行する要因のひとつと考えられます。

もう一つは、海外との人の往来が盛んになってきていることが挙げられるでしょう。ノロウイルスは世界中で猛威を振るっている感染症です。日本人観光客が感染して日本に持ち帰ることもありますし、外国人観光客が感染して日本に持ち込むこともあります。こういう状況ですから、ノロウイルス感染は冬に限ったことではないのです」(今村先生)

Q. 大人や子ども、お年寄りなど、どんな人が感染しやすいの?
「ノロウイルスは非常に感染力が強いウイルス。どのような人でも感染しますが、特に乳幼児や高齢者、免疫力の低下した人は重症化しやすいので注意が必要です。嘔吐などの症状が強く出る人もいる反面、感染しても症状があまり出ず感染に気付かない人も存在します」(今村先生)

感染を防ぐ有効手段とは?

感染を防ぐには、やはり手洗いが効果的のよう。
「調理やトイレの後などは十分な水でウイルスを洗い流しましょう。ノロウイルスは熱に弱いので、85度以上、1分以上の加熱で感染力を失活化できます。調理器具などは洗剤で洗浄後、塩素系漂白剤(ハイタ-、ブリーチなど)で浸すように拭くといいでしょう」(今村先生)。

また、免疫力が低下している人ほどノロウイルスが重症化しやすいのだとか。十分な睡眠をとり、過度なストレスを溜めないように気を付け、適度にからだを動かし、バランスの良い食事などを心がけるなど、免疫力アップにつとめましょう。

もし、感染してしまったら?

残念ながら、今のところノロウイルスに対しての特効薬はないそう。
「感染してしまったら、嘔吐や下痢などで脱水状態になりやすいので、食べることができなくても水分はとるように心がけましょう。通常は2~3日で改善することが多いのですが、症状が強い場合は早めに受診を」(今村先生)

ウイルスは便から1週間ぐらいは検出されるため、たとえ症状が改善してもその間は周囲の人に感染させる可能性もあると今村先生。手洗いを徹底して、他の人とタオルなどの共有はしないなど、感染を拡大させないよう衛生面には十分気をつけましょう!

取材協力 今村 甲彦(いまむら たかひこ) All About「胃腸科・内科の病気」ガイド

医師。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医。久留米大学病院高度救命救急センターを経て、現在は地域の中核病院で内科診療および内視鏡検査に励む。「患者さんの声に常に耳を傾ける」ことをモットーに、消化器・肝臓領域から風邪、高血圧等の一般内科領域まで幅広く診療を行っている