もう腰痛に悩まない! 今すぐできる“ラク腰”メソッド
腰痛は、人間が最初にかかる“国民病”。今や日本人の3人に1人が悩んでいると言われています。「まだ若いから大丈夫」と思っていても、腰に違和感を覚え始めるのは子育て世代の30代が圧倒的。筋肉がついていようが、運動をしていようが、腰痛は日頃の姿勢やメンタルの状態によって誰にでも降り掛かる病気なので、過信は禁物です。そこで今回は、腰痛治療のエキスパート・酒井慎太郎先生に、今ドキの腰痛事情や自分でできる腰痛ケアについて教えていただきました!
目次
Q. どうして腰痛になるの?
腰痛を引き起こすいちばんの要因は、同じ姿勢をとり続けてしまうこと。多くの場合は、ある日突然起こるのではなく、日常動作の積み重ねで“腰痛貯金”が貯まっていき、満期になった時にぎっくり腰など症状として現れます。
筋肉は、急に重たいものを持ち上げる短時間の動作のほうが実はラク。軽いものを長時間持ち続けるほうがきついのです。頭の重さは平均5~6kgありますから、悪い姿勢で支え続けることで筋肉は炎症を起こし腰痛につながっていきます。
1日中パソコンと向き合っているデスクワークの方はもちろん、長時間車を運転する人、塾通いのお子さんも、同じ姿勢でいる時間が多くなるので腰痛になりやすい傾向にあります。
Q. 腰痛を招くNG習慣とは?
ふかふかのソファに浅く腰をかけてふんぞり返るように座ったり、前傾姿勢でパソコン作業をしたりと、日常的についやってしまうこうした姿勢は、自分にとってはラクでも、身体を支える「仙腸(せんちょう)関節」に負担をかけるのでNG。
仙腸関節とは、骨盤の中央にある骨で、体全体のクッションのような役割を果たしています。正しく機能していれば、腰や首への負担を軽減してくれますが、悪い姿勢をとり続けると、骨盤がナナメになり、仙腸関節に大きな負担をかけることに。腰痛を遠ざけるためには、この仙腸関節への負担を避けることが大切です。
たとえば、椅子に座る際には深く腰掛け骨盤を立たせるように座る、パソコンを打つ時は重心を後ろにしてキーボードをなるべくお腹に引き寄せる、掃除機をかける時は脚を肩幅に広げ背筋をのばす……というふうに、いつもの何気ない動作を“腰にとって”ラクな姿勢に変えてみましょう。少し意識するだけでも、かなり腰への負担を減らすことができますよ。
Q. 腰痛を防ぐ良い習慣とは?
昔は腰痛になったら安静にするのが良いとされていましたが、今は軽い運動が推奨されています。おすすめはウォーキング。荷物を持っている時や高いヒールを履いている時じゃなく、1日5分でも歩くための時間を設けて、正しい姿勢で歩く習慣をつけてみましょう。右の腰が痛い場合は身体を左後ろに、左が痛い人は右後ろに腕を引くことを意識しながら歩きます。腕を後ろに引くことで前傾姿勢にならず後ろ重心で歩くことができるようになり、関節がスムーズに動いて血流がアップ。腰痛がだんだんラクになります。
Q. 腰の痛みをラクにするおすすめメソッドとは?
●腰の痛みが軽くなる!「テニスボール・エクササイズ」
(1)2個のテニスボールをガムテープで巻いて固定する。
(2)お尻の割れ目の上にある尾骨の出っ張りを探し、そこに握りこぶしをあてる。
(3)その握りこぶしの上にテニスボールを左右中央にくるようにセット。
(4)その状態で硬い床に仰向けに寝る。1回3分以内、1日3回まで。続けていくことで仙腸関節がゆるみ、可動域が広がり、次第に腰の痛みが和らぎます。
● 後ろ重心の美姿勢に戻す!「オットセイ体操」
(1)うつぶせの状態で寝る。
(2)そこからオットセイのように胸を張って背中を反らせます。腕よりも背中が気持ちよく伸びていることを意識して。1回1分、1日5~6回まで。前にかかっている重心を後ろに引き戻すことで身体のバランスを整え、腰椎の正常可動域をメモリーします。
●腰を反らすと痛い人に!「にゃんこのポーズ」
(1)正座をしてクッションか丸めたタオルをおなかにあてる。
(2)そのまま身体を前に倒して、腰をしっかり丸めながら背中をのばす。1回1分、1日5~6回まで。意識的に腰を丸めることで、後ろの脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)のストレッチをします。
※脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)とは、腰から背骨、首まではしる背中の筋肉のことです。
この3つのエクササイズは、朝行うのがおすすめ。朝いちばんにこの体操で可動域を広げておくことで、身体がその状態を記憶。1日良い姿勢のまま過ごすことができます。
また、腰痛は姿勢だけじゃなく、メンタルにも大きく左右されると酒井先生。「心配性の人も腰痛にはまりやすい傾向にあります。特に女性は痛みに対してナーバスになりがち。少しの身体の変化にも敏感になり、腰を守るために寝て、安静にしすぎて悪化してしまう人も少なくありません。少し大げさですが、“腰痛になったって死ぬわけじゃない”と気楽に構えておくことも大切ですよ」