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フランス便り

一度は体験してみたい! 憧れのパリのクリスマス

寒いパリ! 秋の旬な食材といえば、大好きな「栗」。ホームメイドの熱々の焼き栗を毎日食べていましたら、あれよあれよと12月になってしまいました。「師走」月らしく、日本だけでなくこちらも皆、そわそわと落ちつかない時期です。

本場の国のクリスマス当日は……

ヨーロッパのクリスマスは、日本のクリスマスと全く違うのをご存知ですか? パリに住み始めてビックリしたことのひとつでもあります。日本のジングルベルにケーキ、プレゼントの感覚で、もし貴女が12月24日、パリに到着するとします。

…だとしたら、大変です!
ロマンチックなレストラン、お洒落な小さなブティックは……ことごとく閉まっています。街は、とにかく静か。ナゼって、ここはキリスト教の国だからです。こちらのクリスマスは日本のお正月だと想像していただくとわかりやすいでしょう。クリスマス前になると、多くの人が実家に帰ります。国内だけではありません。パリには世界各国の人が集まっているので、南北アメリカやフランスの海外県や海外領土(グアドループ、マルティニーク、ギニア、レユニオンなど)に帰省する人々で、高速道路、鉄道の駅、空港は大混乱します。

パリジェンヌはクリスマスに何をするの?

クリスマスは、家族が集まりキリストの生誕をお祝いするのです。こちらの友人に“貴方にとってクリスマスとは?”と聞いてみたところ、「お金がかかるイベント」と答えが返ってきました。

そうなのです。日本のように特別な人だけへのプレゼントでは済まないのが現実。家族全員が、家族全員にプレゼントするのです。以前、パリに家族がいない可哀想な日本人と思われたのでしょう。フランス人家庭に招待いただいたことがありました。

クリスマスが近づくと、街中がライトアップ。

友人のご両親に兄弟、姪、甥……総勢9人! それぞれに喜んでいただけるプレゼントを探し回って買ったことがありました。子どもたちは「今年は、何を貰えるか?」とワクワク&ソワソワと楽しい月ですが、大人は何かと出費が重なり、お財布事情が厳しい月でもあるんです。

街中でのマーケットにもクリスマスのグッズがずらり。

食材の調達も大変! パリのカップルのほとんどが、共稼ぎなので買いにいく時間がありません。日曜日は、商店は勿論、デパートまでもお休み。ただ、12月は日曜日も特別営業しているため、ごった返しています。

こちらはブッシュドノエルを模したキャンドル。

24日の深夜は教会に行き、家に戻ったら特別ディナーです。この日ばかりと普段食べることのない豪華な品々がテーブルを飾ります。フォアグラ、キャビア、シャポン(去勢した雄鶏)、シャンパンにワイン。それにケーキはクリスマスの定番、ブッシュドノエル!

余談ですが、ブッシュドノエルとは“クリスマスの薪”という意味。ナゼ、薪の型なのかというと……昔は、一本の大きな丸太を暖炉で12月24日から1月1日まで燃やし続けなくてはいけないという習慣があったそうです。今では暖炉のある家が少なくなってしまったけれど、その習慣の名残でこのケーキが生まれたそうです。
クリスマスディナーは25日も続きます。飽食の数日間です(笑)。

フランスの栗は格別です

冬になると街角には、焼き栗屋さんが出て来ます。栗といえば、マロングラッセが有名なのですが、フランス人は意外にも栗が好きな人が少ないのです。もったいない! と思いながら、私は、家でせっせと焼き栗をつくります。今日はそのレシピをお教えします。簡単ですので、是非、ご自宅でつくってみてください。

<冬の定番おやつ 焼き栗のつくり方>
栗は大きめのものがおすすめです。事前にオーブンを温めておいてください。

(1)栗に横の切れ目を深めに入れます!ここがポイントです。切れ目を入れないとオーブンの中で爆発するので要注意。
(2)切れ目を入れた栗を、水を張ったボールに入れていきます。すべての工程が終わったら水から出してオーブンの中へ。だいたい20分くらいですが、途中で味見をしてください。ホクホクなら、できあがりです。

旬な食材の良さを活かすにはシンプルな調理法が一番! 自然の甘みが凝縮して美味しいですよ。さらに味の変化を楽しむなら生クリームやビオの豆乳クリーム、マスカルポーネなどを添えて食べると格別です。12月はカロリーなど考えず、美味しいものを食べながら楽しい時間を過ごしたいですね。

取材協力 YOLLIKO SAITO 写真家

日本大学芸術学部写真学科卒業。広告制作会社勤務後フリーになる。現在、パリを基点としてヨーロッパ、アフリカなどで活躍。日本の女性誌、書籍、広告の他にアート作品の写真展をパリ、ベルリン、銀座で定期的に開催。ビオ、自然食、自然治療にも関心が強く、自他ともに認める「健康マニア」。自宅で栽培しているオーガニックハーブを使った料理をもてなしたり、ナチュラル・オーガニックコスメなどの美容情報にも精通。