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フランス便り

パリジェンヌもお気に入り!「bento」の進化

ボンジュール!

皆さま、お元気ですか?
パリは気持ちの良い季節になりました。一年で一番良い季節かもしれません。
ノートルダム寺院が焼け落ちたことで、シテ島の景色は変わってしまいましたが…。

さて、フランスではこの時期になると、学校や会社へ持っていくためではなく、お弁当を持って公園や川沿いに出かける人、つまりピクニックをする人が増えます。

前回、東京に帰った際に駅やデパ地下で見かけたサンドウィッチ専門店。
白いふわふわパンに、たっくさんの中身。美味しそう…。「あぁ~日本だなぁ~」と感動しました。

サンドウィッチというと思い出すことがあります。こちらに来たばかりの頃、別荘で怪我をしてしまい、動けずに困っている男友達がいました。遠い田舎にある別荘でしたので、彼のお母さまの都合がつかず、お母さまの代わりに私が大きな犬を連れて、その別荘へお見舞いに行くことになりました。その時、お料理上手なお母さまがお弁当を作ってくださいました。

うきうきしながら別荘のお庭で開けると、バゲットサンド。ん? 中身は?……薄い。バゲットを横に切ってハムとチーズのみ。これだけ? レタス、キュウリ、トマトなどはまったくなし。ひょっとして息子(ゲイ)のガールフレンド(私のこと)に対する嫌がらせ?もしかして私って嫌われている?
後に判明したのですが、それがフランスのスタンダードだったということ。シンプルなバゲットサンドはどこでも売られていて、パリの街角や田舎、いたるところでフランス人たちは美味しそうに食べています。しかし、日本人にとっては、なんともシンプルすぎます。

その後、時は流れて先日。
友人であるパリジェンヌとお弁当を作ってヴァンセンヌの森に散歩に行くことになり、彼女の家に迎えに行きました。すると、キッチンに黒い、四角い何か食べ物が……。

ヴェジー(ベジタリアン)の貴女用にも作ったからね、との事。どうやら海苔、玄米。半分に切ると、わたし用には、キャロットラペとレタス。もう1つは、でたー! やっぱりここでもハムとチーズ。日本で覚えて来たのよ“オニギラズ”、と彼女はそう言いました。鬼? 切る? 彼女の説明を聞くと、オニギリみたいなのに握らない物だとか。
5年ぐらい前に日本で流行っていて今は定番になったのよ、とパリジェンヌから日本の事を教わりました。

この数年、パリのお弁当は様変わりしました。
寒い時期も冷たいバゲットをかじっていたパリジャンが、熱々のラーメンに目覚め、そして今は、日本式のお弁当を食べているのです。

パン屋さんなどで売っている定番ランチは、バゲットサンドと飲み物、デザートがついて、10ユーロ以上。
このようにパリのお昼ご飯は内容の割に高いので、バゲットサンドよりも、近年ではBENTO の方が「ボリュームがあり栄養バランスも良い、色々なおかずが入っていて楽しい」と人気が出てきています。

昨年は、リオン駅で幕の内弁当が販売されました。15ユーロ。それまでのフランスの駅で売られている食べ物には、美味しい物がまずありませんでした。日本のお弁当を駅の構内で買って、TGV に乗り込む。あの冷たいバゲットサンドの呪縛から解かれた気がしました。

自然食の「nanashi」は、店内でもLe BENTO を食べられます。内容が毎日変わるので、毎日ここでランチすると人たちも多いとか。内容は、店内の掲示板で一目瞭然。

ロケ弁で時々、お目にかかるのは、「BENTO&GO」 のお弁当。お持ち帰り専門です。このお店のチラシの裏は、お店紹介が漫画です。ハート型の卵焼きがかわいいです。

韓国系のスーパーでは、お手ごろな9ユーロのBENTO TONKATSUを販売しています。

フランスは、コンサバな国ですが、良い事柄を受け入れる度量のある国だと思います。お弁当文化が、フランス人の昼食を豊かにした!と誇りに思っています。日本食文化万歳!

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お弁当づくりで忙しい、時間のない朝にぴったりなのは
取材協力 YOLLIKO SAITO 写真家

日本大学芸術学部写真学科卒業。広告制作会社勤務後フリーになる。現在、パリを基点としてヨーロッパ、アフリカなどで活躍。日本の女性誌、書籍、広告の他にアート作品の写真展をパリ、ベルリン、銀座で定期的に開催。ビオ、自然食、自然治療にも関心が強く、自他ともに認める「健康マニア」。自宅で栽培しているオーガニックハーブを使った料理をもてなしたり、ナチュラル・オーガニックコスメなどの美容情報にも精通。