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フランス便り

今はユニセックスな香りが旬? フランス人の“香り”事情

皆さん、お元気ですか? 日本ではジメジメとした梅雨時期がスタートしている頃ですよね。6月のパリといえば、とても気持ちのいい季節。それに、楽しいイべントが目白押しなんです。
夏至の日は「パリ町かど音楽祭」!プロだけではなく、アマチュアミュージシャンも多く参加し、街中に音楽が流れます。
また中旬の週末には、華やかなゲイプライドがあります。幸運にも私の回りには、イケメンゲイが多いので、私も彼らと一緒にシャンパン片手に参加します。パレードに参加する彼らからは、とってもいい香りが〜。汗をかいてもいつもいい香りで、幸せな気分にしてくれます。

いつでもどこでも香りがある生活

先日、日本からいらした雑誌編集者の方とタクシーに乗ったとき、とてもビックリされていたことがありました。それは、ヨロヨロのおじいさん運転手さんが、清々しいコロンを付けていたこと。次に乗ったタクシーは、ココナッツの香りがしていました。そのタクシー運転手さんは、ロングのラスタ・ヘア。ご存知のとおり、レゲエ・ミュージシャンやその愛好者に好まれる、細かい縄状のヘアスタイル。「まるでレゲエの世界だ〜〜」と喜んでいたので、運転手さんにそう告げると、「分かるね。おねえちゃん」とボブ・マーリーの名曲「ONE LOVE」をかけてくれました。
仕事で疲れてイライラしていた時に楽しく車中全員合唱。香りが取り持つハッピープチ外交でした。

日本とフランスとの大きな違い

フランスでは老若男女問わず、ほとんどの人が香りをつけています。香りはアイデンティティーのひとつといわれていますが、まさにそう。個々の意見や主張のようだと感じます。日本人は「和を持って尊し」として皆と同じであることに安心しますが、西洋では自分の意見を持つのが当たり前の国。ここにいると普通になっていますが、香りひとつとってみても文化の違いがはっきり表れているので、大変興味深いです。
それから、TPOに合わせて香りを使いわけることも上手。昼と夜とでは違ったコロンをつけて楽しんでいるので、気に入った香りをいくつか持っているんですよ。小さいときから香りと付き合っているフランス人。オシャレな楽しみ方を知っています。

赤ちゃんのときから「香りの目利き」?

フランス人の香り好きは、いつから始まるのか? フランス人の人生において香りとの出会いは、赤ちゃんのときからすでに始まっていると思います。ベビーバス用のジェルやボディー用のミルクローションやクリーム。「ベビーアイテムにこんなにしっかり香りをつけてしまっていいの?」と思うほど。
でも、そんなときから香りに慣れ親しんでいるので、「自分の好みのアロマシャワージェルじゃない!」と小学生の女の子が大憤慨して、お風呂に入らないなんていうお話も。三つ子の魂百までですね。

フランス人にとって“香り”とは、水や歯磨き粉みたいなモノ。「生活に無くてはならない物」というべきでしょうか。日常生活のベースにしっかりと組み込まれています。
お料理や食べ物にもハーブがよく使われます。カフェイン無しのハーブティーは、香りを楽しみながら薬効もあるので、夕食後に飲む人が多いです。日本でもフレンチやイタリアンレストランで食後のドリンクメニューにハーブティーを見かけるようになりましたね。
そうそう、フランスでは「ストレート・ティー」よりも「フレーバー・ティー」のほうが人気は高いんです。“香りの国”ですから、飲み物にも香りを求めるんでしょうね。

どの家も、至る所に香りモノが揃っています。玄関やリビングには、アロマキャンドルでゲストを迎えます。ベッドの枕元にはアロマポットやポプリが揃っていますし、タンスの中には乾燥させたラベンダーをサシェ(小さな袋に乾燥ハーブや香料をいれたもの)替わりに使っています。虫除けにもなるからオススメですよ。
デパートやショップでは、夏前にデオドラント売り場が拡張されるし、テレビCMでは、「このデオドラントやコロンで女心をゲット!」というナレーションが。宣伝プロモーション合戦がスタートしています。

日本の男性はコロンをつける方が少ないようですが、香りのよいデオドラントでしたら体も清潔に保てるし、一石二鳥では。
私もここパリに住むようになって香りのある生活をするようになりました。自分でもベビー用のコロンを購入したり、プレゼントされることもしばしば。明日は早朝から撮影なので、自家製バスバブルをつくってぐっすり眠ろうと思っています。
つくり方はいたって簡単。
無香無着色の液体石けんとエッセンシャルオイルを手の平で乳化させ、蛇口の下に。あとは、お湯を出すだけ! あぁ良い香りは、人を幸せにしてくれますよね。浴室の電気を消して、アロマキャンドルでゆっくりしたいと思います。

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取材協力 YOLLIKO SAITO 写真家

日本大学芸術学部写真学科卒業。広告制作会社勤務後フリーになる。現在、パリを基点としてヨーロッパ、アフリカなどで活躍。日本の女性誌、書籍、広告の他にアート作品の写真展をパリ、ベルリン、銀座で定期的に開催。ビオ、自然食、自然治療にも関心が強く、自他ともに認める「健康マニア」。自宅で栽培しているオーガニックハーブを使った料理をもてなしたり、ナチュラル・オーガニックコスメなどの美容情報にも精通。