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フランス便り

世界中のファッションピープルが集まるパリ文化を紹介

ボンジュール!
これから毎月、フランスにまつわるあれこれをお話させていただくことになりました、フォトグラファーのYOLLIKOです!どうぞよろしくお願いします。

3月!3月といえば、パリの街も私たちの業界も、コレクションの真っ只中です。
よく「パリコレ」と一言で言いますが、実は、年に6回も開催されることをご存知ですか。今回は、ファッションショーの会場にいるカメラマンの視線から「パリコレ」についてお話させていただきます!

世界中から皆がパリへ!街中は大賑わい

3月と10月は、プレタポルテ(既製服、とりわけ「高級既製服」を意味するフランス語)のファッションウィークです。

プレタポルテのファッションショーは、ニューヨーク、ロンドン、ミラノでも開催されますが、一番規模が大きく、次のシーズンの流行を世界に発信するのは、パリでしょう。同時期、パリのあちらこちらでファッション関係の大きな展示会も多数あります。それでこの時期パリには、世界中のメディア陣&ファッションピープル達が、一挙に集まり、大混雑!

世界からのエアー、ホテル、レストランが満杯になり、街中は、とんでもなく渋滞します。タクシー乗り場は、長蛇の列。地下鉄は、スリの稼ぎ時で日頃より一層危険になります。街には色鮮やか、奇抜な洋服の外国人が、ぐっと増えます。実は、パリジェンヌのファッションは黒を中心にした服が多く、意外と地味なんです。

本番が始まる数週間前からは、各所でショーに出るモデルのオーディションがあるので、モデル達が街中にあちらこちら(トル)を走り回っています。ちなみに、メンズコレクションの前は普段、どこにいるんだろう?と思うほどのイケメンがパリ中に湧き出てきます。このイケメン達、世界中からオーディションに押し掛けてきているんですよ。

優雅なパリコレ。客席から見ると夢の世界

しかし、バックステージはバタバタで、あちこちでヒステリーを爆発している人や疲れてやる気のないモデルなどなど(トル)、どこのメゾンも当日は問題多々のようです。

「シャネル」や「ディオール」のような大きなメゾンの場合、世界中から集まったカメラマンやフォトグラファーは、招待状に記載されている開始時間の2時間前(!)には、会場の入口に集まり開場を待ちます。

まだまだ寒い3月のパリ、ダウンコートにブーツ、のど飴がマストです。ドアが開くと、重い機材を持ってカメラマン席へダッシュで走ります。狭いカメラマン席でいかに良い場所を確保するか、これが大問題なのです。アルバイトを雇い、早朝や夜のうちに油性マジックで床に名前を書いてもらったりすることもあります。

自分の名前があるところに誰かがいたら”あっち行って”と退けなければ、喧嘩です。最近では、世界的に紙媒体のフォトグラファーがぐっと減りおとなしくなりましたが、以前は流血の殴り合いがありました。まるで猛獣達です。

お恥ずかしい話ですが、イタリア人と私もつかみ合いの喧嘩になりそうになった時、先輩の日本人カメラマン達から力ずくで止められた事がありました。ファッションショーの撮影は、撮り直しのできない報道写真なので皆真剣なのです。

コレクションに持参するモノ

そうこうしているうちにだいたい各自の場所が決まってホッとしていても、未だショーは始まりません。ここでもまた待たされます。一日に何ヵ所ものショーを回る時は、玄米のおにぎりとミカンを持参します。温かなお茶を持って行きたいところですが、機材があるのでなるべく軽量、そしてお化粧室へ行くのが難しいので水分少なめヴィタミン豊富のミカンが最適なのです。

このミカン、思わぬ効果を生みだします。それは香り。人を幸せな気分にしてくれると思います。柑橘系の香りが嫌いな人は少ないのではないでしょうか?隣のカメラマンがイライラしていたらミカンをあげる事があります。だいたいこれでおとなしくなります。着飾っていらっしゃる会場のお客様達は、カメラマン席がこんな状態だとはご存じないはず。

招待客が着席して落ち着いた頃、だいたいはやっと始まりますが、それでも始まらない時が有ります。「売れっ子モデルが前のショーに出ていて、そのショーが遅れたので未だ来ていない」とか「ショーの服が未だ縫い上がっていない」なんてビックリすることが盛りだくさんです。

ファッションショーにもマナーがある!?

もし、あなたがパリコレにいらっしゃる事がありましたら、そして最前列にお座りになるチャンスがあれば、是非お守り頂きたい事ごとがあります。
迷惑さんは、こんな人なのです。

①蛍光色の服を着ている人。
ランウェイに照明が当たり、客席は暗くなります。そこに蛍光色の服を来ている人がいるとそこだけ目立ってしまいます。つばの広い白い帽子の人なんかも困ります。後ろの席に座っている方々にも困ったサンですね。

②足を組んでいる人。
足先が、ランウェイに入って写真に写る事があります。とても迷惑なのです。カメラマン席から各言語で“足を組まないでください”と優しく声をかけられます。その人が、気がつかない、もしくは無視して足を組んでいると、殺気立っている世界各国のカメラマン達から大きな声で怒鳴られます。
ご注意を!

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取材協力 YOLLIKO SAITO 写真家

日本大学芸術学部写真学科卒業。広告制作会社勤務後フリーになる。現在、パリを基点としてヨーロッパ、アフリカなどで活躍。日本の女性誌、書籍、広告の他にアート作品の写真展をパリ、ベルリン、銀座で定期的に開催。ビオ、自然食、自然治療にも関心が強く、自他ともに認める「健康マニア」。自宅で栽培しているオーガニックハーブを使った料理をもてなしたり、ナチュラル・オーガニックコスメなどの美容情報にも精通。