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季節と肌

体も心もリフレッシュ! スパイス&ハーブのチカラ

ジメジメした気候とともに、気分や体調に違和感がある人もいるのでは? そんな“なんとなく”の不調は、できれば自分で解決したいもの。インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、スパイスやハーブを使って体調を管理することもあるのだとか。そこで、東京スパイス番長としてイベントやメディア出演などで活躍するシャンカール ノグチさんに、“なんとなく不調”におすすめのスパイスについて伺いました。

スパイスは、インド版キッチンメディスン! 賢く使えば体調メンテナンスに大活躍

スパイスといえばカレーがおなじみですが、カレーの本場インドでは、家庭ごとにレシピを変えて取り入れている、と教えてくれたシャンカール ノグチさん。

「インド料理にとってスパイスは欠かせません。カレーとひとくちに言ってもレシピはさまざま。家庭によっても変わりますし、合わせる食材によっても違います。カレーづくりに欠かせないガラムマサラは数種のスパイスを混ぜ合わせたミックススパイスですが、家庭によって調合が異なります。また、料理を担う女性たちが、家族の体調に合わせてスパイスの調合を変えるのもインド的な使い方です」。

私たちが風邪を引いた時、大根おろしや生姜などを取り入れる感覚でインドではスパイスが使われているとか。

「日本には味噌や醤油などの発酵調味料で料理に旨味をプラスしますが、インドではそれをスパイスが担っています。油と組み合わせることで香りを際立たせ、おいしさをつくるのです」(シャンカール ノグチさん)

ジメジメ季節にぴったり! 日々の暮らしに取り入れたいスパイスたち

「スパイスにはそれぞれ薬効があります。ただ取り入れるのではなく、体調に合わせて使ってみるのもスパイス使いの面白さ」とシャンカール ノグチさん。そこで、スーパーで手軽に調達できるスパイスたちの効果について紹介します。

●ちょっと胃の調子が…ターメリック

ウコンとして知られるのがターメリック。カレー料理全般に欠かせないスパイスで、消炎・増強作用で知られます。胃の調子が悪い時やお酒を飲みすぎた時などに効果的。カレーやタンドリーチキンなどに使うほか、紅茶にターメリック、ミルク、シナモンを加えて煮出すのもおすすめ。

●お腹がはりがち…カルダモン

香りが高くシナモンなどと一緒に使われることが多いハーブ。消化を促し、胃液などの分泌をサポートする効果が。口臭を防止する効果にも優れるため、インドでは肉を使ったカレーに欠かせないのだそう。カルダモンのほか、シナモンとクローブをアッサムティーで煮出し、ミルクを加えてひと煮立ちさせればマサラチャイに。

●ちょっと体がだるい…クミン

インド料理だけでなく、さまざまなエスニック料理で使われるスパイス。油と炒めることで香りが際立ち、食欲増進や消化を促す作用があるので肉料理と好相性です。意外なところでは、味噌とも相性が良いので、野菜の味噌炒めの隠し味として使っても。

●ちょっと気分が沈みがち…チリ

唐辛子をパウダー状にしたもの。辛味を効かせたい料理に使用し、発汗作用のあるスパイスです。カレーはもちろん、炒め物に少量加えるとスパイシーな味わいに。梅雨の時期に発汗しづらいするのが苦手な人は、積極的に取り入れてみましょう。汗を出すことで体の循環を良くしてくれる効果が。

●最近気持ちにゆとりがない…シナモン

独特の香りが神経系に作用し、リラックス感を誘ってくれるスパイス。料理に使う時には単体で使用するのではなく、カルダモンやクローブと一緒に使うのがおすすめ。シナモンパウダーはホットミルクやカフェラテなどにトッピング的に使っても。近年ではアルツハイマー病に有効という研究もあるのだそう。

●体がむくみがち…フェンネル

魚料理と相性のいいハーブ。すっきりとした味わいなので、インドでは食後の口直しにそのまま食べることも。消化を助ける作用のほか、利尿・発汗作用があるためむくみやすい季節などにぴったり。

●痛みを感じる…クローブ

インドでは鎮痛作用があると言われているスパイス。歯が痛い時など、痛い箇所に当てて使うのだそう。喉のに痛みが気になるときは、チャイなど、茶葉と一緒に沸かして飲むのがおすすめ。臭み消しとしてお肉の料理に使われており、キーマカレーなどにも入っている。

スパイスは香りが命。「湿気や光を嫌うので、冷暗所で保存するのが大切です。また、梅雨や夏場はカビ予防のためにも冷蔵庫保存がおすすめ。正しく保存すれば1年くらいは持ちますよ」とシャンカール ノグチさん。

「あまり難しく考えずに、いつもの野菜炒めをつくる時に、ニンニクや生姜で香り油をつくる要領でスパイスを取り入れてみてください。気分も体も元気になれるはずです」

みなさんもぜひスパイスを活用してみてるのはいかがでしょうか?

photo/Hidehiro Yamada
text/Mika Hatanaka

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自然のめぐみがたっぷり
取材協力 シャンカール・ノグチ

東京生まれ。All About 「カレーガイド」。インドのスパイス商、調合師。「東京スパイス番長」のメンバーとして、イベントやワークショップでインドカレーを作ったり、レシピ開発に携わったり、幅広い活動を展開。著書に『心とカラダにやさしい316種 増補改訂 ハーブ&スパイス事典』(誠文堂新光社)、東京カリ〜番長の共著で「世界一やさしいスパイスカレー教室」(マイナビ出版)、新書に『スパイス生活』(地球丸)などがある。今夏にオープンするスパイス惣菜&カレーtakecurryのスパイス監修で参加中。