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フランス便り

美食の街・パリの美味しさを守るキッチンを公開

ボンジュール!
日本は、春の兆しが嬉しい頃でしょうか? パリはまだ、コートにマフラーが手離せません。
先日、日本に帰った際、友人と料理の話になり「とりあえずしょう油があればどうにかなるし、落ち着くよね」と話がまとまりました。

そういえば、フランス人にとって欠かせない調味料は何でしょうか? 早速、周りのフランス人たちに毎日使う調味料を聞いてみました。すると、返ってくる答えはみなさん「塩、胡椒、ハーブ!」

まず塩。どの家庭にも最低、2種類以上の塩があるようです。
野菜やパスタを茹でる時は、グロ・セルという粗塩を使います。海のお塩の場合もあるし、岩塩の家庭もあります。もうひとつは、海水から作った細かな塩のフロール・ド・セルです。こちらは、料理の味付けや卓上に置いて使うお塩です。こだわりのある人の家には、3〜5種類もの異なったお塩を置いてあります。

つぎにパリの食卓に欠かせないのが、胡椒。
日本では、挽いて粉末状になった胡椒が多いようですが、こちらでは、ムーラン(ミル)の中に白、黒、赤、緑などの胡椒をそれぞれ用意したり、ミックスしたりしてホールで使います。まるで、お好みの配合でオーダーする七味唐辛子のようです。挽きたての胡椒は香りが高く、お料理のエッセンスになる美味しさです。

そういえばパリに住み始めた時、お料理好きの友人から「ペッパーミルを買うのなら、絶対にプジョーに!」と言われたのを思い出しました。フランスブランドであるプジョーの車は丈夫だと言われていますが、ミルも同様になかなか丈夫で長年使っています。皆様もつぎにペッパーミルを購入される際には、ぜひプジョー製を(笑)!

さて、三つ目のハーブ類。この辺が、日本人にとってのしょう油のように、フランス人独特の調味料かもしれませんね。どの家庭にもあるのは、タイム、ローズマリー、ローリエ。それらにバジルなどを加えたミックスハーブは、エルブ・ド・プロヴァンスと呼ばれ、ひとつあると便利なミックスハーブです。トマトをベースにさまざまな野菜を煮込み、このハーブを入れると南仏料理のラタトゥイユが完成しますよ。

乾燥ハーブは、一年中使えますが、草木が芽吹くこれからの時期は、フレッシュハーブが楽しみです。炒め物や、煮こみ料理を作る際にハーブを入れれば、たちまちフレンチっぽくなりますから、ぜひお試しくださいね。

ちなみに日本のスーパーでおなじみのドレッシングは、パリでは見かけません。フランス人は、ほぼ毎日サラダを食べますが、ボウルに盛った野菜にオイル、お酢、塩胡椒、またはマスタード入れて混ぜて、思い思いの味付けをしていただきます。

オイルとマスタード、お酢、塩胡椒を混ぜるだけの自家製ビグレットソースは、食べ盛りのお子さんがいる家庭では、ミネラルウォーターのボトルに入れて使っているのをよく見かけます。これが一本あれば、蒸したり煮た野菜にさっとかけるだけで、美味しい一皿の出来上がり! 太めの長ネギを茹でてビグレットソースをかければ、寒い季節によく食卓にのぼる伝統フランス料理の完成です。

パリのアパートは、そんなに大きくはありませんが、どの家庭も皆、キッチンはさっぱりときれいに片付けています。週に1〜2回、お手伝いさんを頼んでいるお宅も多くあるほど。
もちろん、男性も家事に完全参加!がフランス流です。

ピックアップアイテム
キッチン作業後の必需品
取材協力 YOLLIKO SAITO 写真家

日本大学芸術学部写真学科卒業。広告制作会社勤務後フリーになる。現在、パリを基点としてヨーロッパ、アフリカなどで活躍。日本の女性誌、書籍、広告の他にアート作品の写真展をパリ、ベルリン、銀座で定期的に開催。ビオ、自然食、自然治療にも関心が強く、自他ともに認める「健康マニア」。自宅で栽培しているオーガニックハーブを使った料理をもてなしたり、ナチュラル・オーガニックコスメなどの美容情報にも精通。