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フランス便り

郷に入れば郷に従え。フランスマダムのおしゃれ事情を学ぶ

並木道を歩くと幸せな香りが流れてくる季節、パリです。いつもこんな自然ないい香りがするといいのですが、現実はそうもいきません(笑)。臭いパリもいたる所にありますから。先月、短い間ではありましたが、東京に一時帰国しました。いいですね。日本は、どこも清潔で。

日本へ帰るたびに「あら?」と驚くことや、新しく発見することがあります。そのひとつがネイルです。日本では10代から年配のマダムまで綺麗なお爪をしていらっしゃいますね。皆さんもパリジェンヌのネイルに興味津々かと思いますが、日本とは全然違うカルチャーを持っているんです。

フランス人はフレンチネイルをしない!?

「フランスだからもちろんフレンチネイルやジェルネイルが一般的でしょ」とお考えでしたら、間違いです! フレンチネイルは、アメリカのハリウッドが発祥らしいですね。パリではかなりファッショナブルで、美容にお金をかけている女性がときどきフレンチネイルをしている程度。

この頃、パリの街にもネイルサロンが増えましたが、ほとんどのお店はジェルネイルの施術をしません。友人が日本へ行ったときにジェルネイルに挑戦したのですが、パリに帰ってきてから困ったことに。というのも、ジェルのお手入れをできるお店が見つからず、普通のネイルサロンで落としてもらったところ……爪がボロボロになってしまったそうです。

日本に比べ、フランスはネイル発展途上国とも言われかねませんが、パリジェンヌはどちらかというと指先(ネイル)よりも大ぶりなブレスレットやリングに気を配ります。ジェルネイルに小さなお爪用のピカピカやお花のアクセサリー、フランス人で見たことがありません。

昨年大好評をいただきました本の『パリマダムシック』(主婦の友社)の第2弾を今、撮影しているのですが、毎日のようにたくさんの素敵なマダムたちとお会いしています。そのときに気づいたのですが、どなたもネイルをしていないのです。

「いつもネイルをしないのですか」と聞いてみますと、かなりフォーマルなお出かけのときに美容院で髪のセットとネイルをするくらいで、ベージュや薄いピンク色をリクエストするそうです。普段から濃い色の爪をしているのは「上品ではない」というのが、マダムたちの意見。パールやラインストーンを付けたネイルは「下品」「趣味が悪い」と影で囁かれるそうですよ。

一方で、若い子たちのネイル事情を聞いてみましたが、カラフルな色を楽しんでいても毎日ネイルをしているわけではなさそう。日本から来たお嬢さんがしているデコラティブなネイルを見て、「あらキレイ。面白いわね」といいますが、ご自分のお嬢さんにさせようとは思わないみたいですね。

百年の恋も冷める、カフェオレ事件

文化の違いといえば、こんな話もありました。先日、イケメンの友人から「日本人は、食事のときにコーヒーを飲むの? この間、気になっている日本人の女の子とデートしたんだけど、夕食時にカフェオレを注文したんだよ! それで好きな気持ちが冷めちゃった」という報告を受けました。日本女性を弁護するわけではありませんが、日本はアメリカの食文化の影響を強く受けていることを説明しました。でも、彼の気持ちは「No」。「食事中にカフェオレなんてありえない」と気持ちが変わることはありませんでした。

以前、パリでグルメで有名な某日本人女優さんと一緒にお仕事をしたときのこと。ディナーの初めに彼女も、頼んだのです。星付きレストランでカフェオレを。サービスの人は「彼女は体が悪いのか? 食事が要らないのか?」と怪訝な顔。コーディネーターの人が慌てて説明していました。

フランス人がカフェオレを飲むのは、基本、朝ごはん、またはおやつのときです。ご飯のときには、お水かアルコールをいただきます。ブラックであってもコーヒーを飲みながらランチやディナーなどしないのです。

イギリスやアメリカではデザートと一緒にコーヒーが出てきますがラテンの国々では、食後のデザートのときにも一緒にコーヒーは出てきません。甘いものを食べてから、エスプレッソまたは、ハーブティーがサービスされます。

また、どうしても食後のコーヒーにミルクが欲しければ、ノアゼットという小さなカフェオレがありますので、そちらをオーダーしてください。

国によって、いろいろと細かい違いがありますが、自国では当たり前のことでも訪問する先の方々にとっては不愉快な感じを与えてしまうこともあります。世界的に人気の高い日本女性です。先方の方々をリスペクトする心やその国の文化を事前にチェックしておくなどの配慮があると、エレガントですよね。海外へ行かれる際は、これらの話を頭の片隅に入れておくことをおすすめします。

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取材協力 YOLLIKO SAITO 写真家

日本大学芸術学部写真学科卒業。広告制作会社勤務後フリーになる。現在、パリを基点としてヨーロッパ、アフリカなどで活躍。日本の女性誌、書籍、広告の他にアート作品の写真展をパリ、ベルリン、銀座で定期的に開催。ビオ、自然食、自然治療にも関心が強く、自他ともに認める「健康マニア」。自宅で栽培しているオーガニックハーブを使った料理をもてなしたり、ナチュラル・オーガニックコスメなどの美容情報にも精通。